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スウェーデン林業技術クラスターの基本理念は、技術開発により競争力の向上を図ることです。スキルと産業調査の提供と、ビジネス、社会および経済の提携を図ることが主要な業務内容です。このクラスターはスウェーデン北部を拠点とし、10の企業が参加しています。

林業クラスターはスウェーデン北部に拠点をもち、林業機械、直販部品メーカーから構成されています。参加企業の大半はウメオ市内およびその周辺にあります。ビジネス主導でイノベーション重視であり、形式にこだわらないことがこのクラスターの基本原則です。

林業クラスターの参加企業は1,100人を雇用していますが、これはスウェーデン全体の林業技術企業の雇用人数の半分にあたります。また、これらクラスター参加企業は他の業界からサブコントラクターとして、約1,000人を雇用しています。

 

スウェーデン国内の参加企業総売り上げは56億クローナに達します。その半分は輸出によるものです。クラスター企業のいくつかは国際企業で海外に進出しています。(海外にある子会社の売り上げはスウェーデン国内の売り上げには含まれていません。)

 

クラスター内での協力により、企業は共同で利益を得ることができます。長年の間に蓄積された林業機械の開発と製造の経験が斬新で革新的な製品の土台となっています。

 

クラスター形成の成功例

請負業者、研究者、製造業者と林業会社の協力によってスウェーデンは世界市場で主導的位置を占めるようになりました。

最近のスウェーデン林業機械業界の調査で、新たな製品を市場に投入するには、すべての関係者が協力しなければならないことが明らかになりました。イノベーションやアイディアは小さな会社や組織の中のほうが育ちやすいものです。しかし、コンセプトを完成品に転換するには複雑なプロセスを経なければならないため、製品開発のインフラが必要になります。

イノベーションは、ユーザー、研究者、製造業者、林業会社が生産的な環境で相互に関わり合うとき大きな進歩を遂げます。スウェーデン林業技術クラスターはそういった環境を提供しているのです。

 

プロジェクトおよび研究・開発

本クラスターは、林業技術の開発を促進し、主要なスキルを習得するための理想的環境を創造するべく、現在20のプロジェクトを実施しています。プロジェクトは主にEUの構造基金とスウェーデンのイノベーションを管轄するVINNOVA(イノベーション・システム庁)が主体となった共同出資によって実施されています。国内の県や市町村に相当する地方自治体も出資に関わっています。クラスター内では、スウェーデン国営林業会社Sveaskog(スベアスコグ)から大規模な出資を受けることも可能です。さらに、参加企業は時間や人員その他のリソースを提供することで貢献できます。

技術開発の貢献やテスト・ベッドについて、各企業へ直接報酬は支払われませんが、競争力の向上という形でクラスターから恩恵を得ます。Sveaskogは、出資することによりシステム開発とアイディアの発想を推進し、この産業の収益性と生産性を高めます。

スウェーデンの林業は、主にCTL(Cut-to-Length 短幹集材)方式の導入により、生産性が過去30年で15倍に上がりました。しかし、スウェーデンが世界で優位性を保つためにはパートナーシップが必要です。

システム開発の研究開発事業において、クラスターは研究とビジネスを結び付けるための革新的な環境を創出しました。これにより業界が研究の成果を吸収し、新たなシステムソリューション、イノベーション、製品が完成するまでのリードタイムを短縮できるのです。

これらの取組をさらに拡大するため、クラスターは以下の5項目を重点分野として特定しました。

1.パワートレイン等の推進システムおよびその他の軟弱地を走行するための方法・製品

2.バイオエネルギー生成のための木質バイオマスを効率よく抽出するシステム

3.燃料効率のよいモーターを利用した電気ハイブリッドシステム

4.クレーン先端制御の「共有」:ドライバーコントロールの一部自動化

5.森林管理をより効率的にするためのシステム:植林の機械化

 

より平等な森林産業

 

スウェーデンではおよそ10万人が林業および森林産業で働いています。しかし女性はその16%にすぎません。クラスター内ではその比率はさらに低く、13%です。

様々な分野での専門性の必要性は高く、市場の需要を満たすためにも、林業セクターは男女を問わず全ての人々のスキルを活用する必要があります。スウェーデン林業技術クラスターとベステルボッテン県の行政委員会は共同で、男女平等の戦略として以下の3つを重要項目と定めました。

  • 管理職による平等への取り組み – 管理職の役割が効果的な平等への取り組みには重要
  • 森林産業のイメージ刷新 – 男性と女性の両方が林業会社を魅力ある雇用先だと考えられるようになることが必要
  • 研究・開発 -能力の適材適所化により競争的優位に立てる

 

林業技術クラスターの背景

1997年、数社が集まって経済団体STC(Skogsbrukstekniskt Centrum)を設立しました。当団体は資金調達で行き詰りましたが、関心のある企業のグループが引き続きネットワークの形で活動を続け、開発プロジェクト、セミナー、トレーニングコースを主催していました。資金は様々な調達先から集めました。

2010年、9社が経済団体を設立することを決定し、同時にCEOをリクルートしました。このCEOになったのがマリア・ヘドブロムで2010年9月1日に就任しました。

スウェーデン林業技術クラスターはいくつかのイノベーションを現在市場で流通している製品へと商品化する支援をしました。現在もいくつかのクラスタープロジェクトが研究者とルレオ工科大学、スウェーデン農業科学大学、ウメオ大学の学生とのコラボレーションで進行しています。その他の専門性も必要に応じて利用されます。ビジネス情報もBusiness Sweden(大使館の商務部)やPöyryなどから提供を受けています。